センター概要

東京工業大学科学技術創成研究院とJXエネルギー、東京ガス、東芝、NTTファシリティーズ、三菱商事、日立製作所は、低炭素社会の要となる再生可能エネルギーや省エネを極限まで取り込んだ地域づくり「スマートコミュニティー」の実現を目指して、本格的な次世代エネルギーの基盤技術の開発・実証研究に共同で取り組んでいます。先進エネルギー国際研究センター(センター長:柏木孝夫特命教授、略称AESセンター、AES=Advanced Energy Systems for Sustainability)は、そのための組織として2009年9月に発足し、企業との円滑な共同研究を可能とする学内制度(共同研究部門)も併せて整備されました。

各社はこの制度を利用して当センター内に共同研究部門(その後、共同研究講座に改称)をそれぞれ設置し、 2010年4月から本格的な共同研究を始めました。また、多くの企業や自治体が参加する研究推進委員会も設置され、共同研究講座とともに産官学民連携で研究プロジェクトを推進するオープンイノベーションプラットフォームが整備されています。センター長の柏木特命教授は、海外も含めたさらに多くの企業にも積極的に参加を呼びかけて、世界的な次世代エネルギー研究の拠点として育成していく計画です。

設立の目的

  1. 産官学連携によるオープンイノベーション拠点の整備
  2. 低炭素社会のエネルギーシステム実現に向けたソリューション研究の推進
  3. 先進エネルギーシステムの実証研究プロジェクトの創生・推進
  4. 低炭素社会のグランドデザインの明確化とその実現に向けた道筋・政策提言
  5. 専門的な研究能力とプロジェクトマネジメント能力を併せ持つ研究人材の育成

研究の狙い

「低炭素社会」の実現は、21世紀最大の課題のひとつです。東工大は、この課題の解決を目指すソリューション研究の一環として、AESプロジェクトを推進してきました。このプロジェクトは、革新的な省エネ・新エネ技術を大胆に取り込み、地球温暖化の回避と安定したエネルギー利用環境を実現する「持続可能社会のための先進エネルギーシステム」の確立を目指しています。従来の大学研究の枠を超えて産業界や行政、消費者、NPOなど多様な主体が参加できる「プラットフォーム」を構築し、社会ニーズを的確に把握して共同で開発・実証研究に取り組みます。それらの成果を総合して低炭素社会のグランドデザインを描き、次世代エネルギー基盤を確立する道筋を明らかにする計画です。

背景

設立の経緯

2005年、東工大が文部科学省の科学技術振興調整費「戦略的研究拠点育成プログラム(通称:スーパーCOE)」に提案し採択された構想に基づいて学内に統合研究院が設置されました。統合研究院は大学にとっては課題実現型の新しい研究類型である「ソリューション研究」を推進し、学内に定着させることを目標に、AESプロジェクトなど複数のソリューション研究プロジェクトを設置しました。AESセンターは、こうした活動の中から2009年9月に発足し、2010年4月に5つの共同研究部門を設置して本格的に活動開始しました。2016年4月には東工大の研究改革に伴い新たに設置された科学技術創成研究院の一員となり、同研究院や本学の学院との連携をさらに深めながら、新たな研究プロジェクト創生に意欲的に取り組んでいます。

ソリューション研究とは

「近い将来に実現すべき社会・産業課題を設定し、学内外と広く連携して取り組む組織的研究」――。大学におけるソリューション研究の定義です。これは統合研究院がこれまでに複数のソリューション研究プロジェクトを企画形成・運営し、その経験を踏まえて定式化したものです。その最大の特徴は、課題の側から研究や技術シーズを見ることです。ディシプリン研究に代表される大学の伝統的な研究が、技術シーズの側から課題を見てテーマを深堀していくのとは大きく異なっています。

さらに、ソリューション研究では、課題を的確に捉え研究成果が現実に社会・産業に受け入れられる道筋をつけるところまでを視野に入れています。多様な問題が複雑に絡み合う社会・産業課題に取り組むため、課題設定や研究計画の企画段階から異分野の研究者はもとより、企業や自治体、政府、市民などとも密接な連携をとる必要があります。そうした連携の中心的役割を大学が果たしていこうという狙いです。